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The Order 1886の感想・レビュー

 ジ・オーダー1886は、PS4独占タイトルで、God of WarのPSP版等を手がけたデベロッパー「Ready At Dawn」開発の渾身の次世代タイトルだ。発売前に色々いわれてたけど、個人的にはプレイしてよかったとおもうし、前評判のネガキャンを見てプレイしないでスルーしてたらマズいタイトルだった。

 先週クリアしたので、忘れないうちに書いておこうと思う。

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また一つ時代が動いたと感じるグラフィックスと表現

 兎にも角にもグラフィックが素晴らしい。The Orderに関して、インターネットや動画サイトにアップされたものは、リアルタイムでPS4で表現されているものから劣化したもので、これは実機でリアルタイムにプレイした方がいい。

 特にShare機能をつかったスクリーンショットは酷いものだ。これは静止画ではなく、動画で映える絵なので、是非実機を見て欲しい。

ハリウッドを完全に意識したカラコレと映像美

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ここまでカラーを意識して全体としての映像美にこだわった作品は、まあ無かったと思う。ゲームは様々な要因(見やすさや、それぞれのステージのコントラストなど)で、ゲームとして割り切った表現が最終的に採用される事が多い。

 が、この作品は一貫して映画的なビジュアルと、カラーにこだわった作品で、こういったゲームはもしかしたら初めてかもしれない。ハリウッド仕込みのプロフェッショナルが関わっているとしか思えない……。ノイズの入れ方も素晴らしい。これはこのThe Order独特の世界観があってのことだと思うけど。

だからこそ極稀に、カットが変わった時に色味がガラっと変わって違和感を感じることもある。単に、光の加減かもしれないが。

カメラワーク

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 カメラワークも素晴らしい。ここまで被写界深度をバリバリ使ってたら逆にわざとらしく感じるもんだけど、違和感を感じず見せる3Dグラフィックスというのも、これまた妙技と言わざるをえない。手ブレはさすがに手付ではないだろうけど、本当にちょっとしたところにまでこだわりを感じる。

 ゲームでよくあるのは、カットシーンで、カメラアングルのせいで手前に表示されるオブジェクトのテクスチャーが荒さが気になるというパターン(ビルボードの草とかねw)。せめてカットシーンの時だけでも、そこのテクスチャーの解像度あげとくか、ぼかそうよなどと気が散ってしまうのだけど、この作品ではそういうった場面がなく、集中することができた。細かく見ていったらあるんだろうけど、気にならない程の没入感があった。

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違和感の少ないモーション

 モーションの素晴らしさも特筆に値する。カットシーンは作りこめばいいだけなのだけど、プレイアブルシーンのモーションというのは実に難しく、ゲーム性とも直結する。本来であればもう少しゆったりとした動きの方が、人間としては自然だけどゲームとしてはそれは少し緩慢すぎるという場合も多い。またユーザーの様々なリアルタイムな操作に対応しなければいけない。

 当然、モーションが途中でキャンセルされるような憂き目にあったり、不自然なブレンドが入る事になるのだが、このゲームは比較的自然に再生される。あ~これは本当によく出来てるわ。

 表情を含めたカットシーンの素晴らしさは言わずもがな。トリプルAタイトルにふさわしいクォリティだ。

 ただ、稀にNPCや主人公がおかしな動きをする事もある。

実在感たっぷりのモデル

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 人物に限らず、オブジェクト一つとってもその精巧さといったらずば抜けている。もちろんこれはモデリングだけでなく、光源処理やシェーダーによる所も多いのだけど。

 唯一、登場人物のニコラだけはゲームっぽかった。この手の若い男や女性は難しいのかねえ。肌の感じとか。オッサンは良い。オッサンは最高。

 髪の毛の表現にめちゃめちゃ気合いを入れたタイトルもあるが、それらのタイトルと比べると、その部分ではあまり力を入れていないようだ。全体としてパッと見の映像美や空気感に力を入れているようだ。

 粗捜しをするようだけど、泥の水たまりはすばらしく奇麗だが、主人公が踏みつけても変化がない。

ローディングをあまり感じさせないし、フレームも安定

 ローディング時間が長く感じる事もなく比較的シームレスにゲームが動作する。裏ではHDDにデータを蓄積しているようだが、最初から順番にプレイしている限り全く気になる事はなかった。

 フレームレートも安定している印象。映像的には、確かに60FPSだと興ざめするだろうという気もするので、個人的にはこのフレームレートがゲームに合っていると思う。60fps至上主義の人は不満だろうが、絶対にこれは45fps以上にすべきではないゲームだ。

 エンジニアはすばらしい仕事を成し遂げた。

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日本語吹き替え音声がよかった

 日本語の吹き替え音声が個人的にはとてもよかった。これは素晴らしい仕事だ!字幕にはバグがあるけど、修正は断念したようだった。

 ただ、もう少し新聞やメモといった、掴んで詳細を見れるオブジェクトにもちゃんと翻訳を付けて欲しかった。訳も少しおかしな部分がある。

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凡庸なゲームデザイン

メインはカバーアクションTPS

 ジャンルで言うとTPSで、主なプレイはカバーアクションを主体としたシューティングになる。また、ステルス要素もある。シューティングに関しては、エイム・アシスト機能があるので初心者でも特に問題なくあそべる。まあ普通という感じ。

 ショットガンで敵の頭をふっとばすと、頭が吹っ飛ぶ。流石Z指定!

 ステルス・ステージは少しだるかった。見つかると即やり直しなのだ。しかもタイミングを掴むのが難しい。

 全体としては、まあ面白い。カバーアクションTPSとしては良く出来ているので、もっと色んなステージで遊びたかった。

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度々現れるQTE

 発売前から言われていたQTE(画面に△ボタンを押せ!とか、✕ボタンを連打しろ!というような操作を促す)は、思ったよりも多くはなかった。ちょっと私は初めてだったんだけど、エイミングが必要なQTEは初めてだったので新鮮だった。

 とはいえ、重要な戦闘シーンで急にQTE又はそれっぽくなると、ちょっと残念な気になる。「え!ここでQTEなの!」と。そこは普通に銃で撃って戦闘でもいいんじゃないのという気もしないでもない。

悪くないけどグッとも来ないストーリー

 世界観は個人的に好きだ。けども、ストーリーに関しては、先を知りたいという動機は喚起するものの、気になって気になって仕方がないという程のものでもない。とりあえずここまでやったから最後までは見たいという、やや消極的なものだった。

 ハリウッド映画、米国ドラマといっても、お約束の上に成り立っている場合が多く、本作もお約束の上になりたっている。だからこそ、ちょっとしたアイデアやキャラクターの人物像の描き方一つで印象が変わったりもするのだが、本作はどうもそこまで踏み込めた作品には成っていない。無難な優等生ではあるけども、飛び抜けた秀才にはなれなかった。全体的にすごくまじめすぎる気がする。ゴシックで硬派なので難しいだろうけども。

 シャーロック・ホームズが好きな奥さんが興味を示すかと思ったけど、彼女は主にロバート・ダウニーJrが好きなのであって、本作の世界観には余り興味を示さなかった。次回作では、龍が如くメソッドを使って、ロバート・ダウニーJrを始めとした実在する俳優陣を使ってみるのはどうか?w

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プレイ時間

 私はなんだかんだで7時間くらいだった。短いと捉えるかどうかは人それぞれだが、私的には早く終わらせて別ゲーをやりたかったという、本作とは全く関係ない要因によって、調度良く感じた。

 いや、ていうか、最近のゲーム長いし、終わりがない物が多いからこのくらい重厚なものはサクッと終わらせて次に行きたいのよね。短いぶん、濃密だったし、濃密に作りこめたとも言える。本当に贅沢な作品だ。

 これを1週間もやってたらぶっちゃけ飽きるし疲れる。

 実際問題、買ってクリアして直ぐに売れる本作品は実質フルプライスとは言えないので、それを考えると超お買い得作品に思える。

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マルチプレイがなく、繰り返し遊ぶ要素が少ない

 マルチプレイが無いのは本作にとってはしかたないとも言える。マルチプレイを実装する事によって、多くのものを犠牲にしなくてはならないだろう。

 また繰り返し遊ぶ要素としては収集アイテムがあるのだが、それもトロフィー以外に特にモチベーションを駆り立てられるようなものではないので、一度エンディングを迎えたら再びこのゲームを立ち上げる事はまずない。

総評とポイント

 The Order 1886は間違いなく最高級AAAのゲームだ。これをこの2015年2月にプレイできた人はある意味幸運じゃないかなと思う。数年後プレイしたらこれほど衝撃はうけれまい。そういう意味では映画「The Avatar」を3Dで見た時に近い。アバターは、3Dだけでなく作品全体としてもよかった点が、本作とは少し違う。

 これからはこのレベルのグラフィックスのゲームが出てくるかと思うとワクワクする。ゲームはグラフィックスだけではないが、グラフィックスもまたゲームを語る要素の一つである事を本作は示した。

 グラフィックが素晴らしいと、そこにはゲーム性とは別の感動があるのだ。本作は、そのグラフィックスをもってしても、素晴らしい作品として昇華させる事ができなかったという点で惜しい作品だ。ゲームの未来について一つの可能性を見せてくれたが、グラフィックスだけでは作品としての評価を得られないという、当たり前の事を証明した。

 しかしまた、本作をクソゲーとレッテルを貼る事で話題を作ろうとするブログや、一部の海外メディアの偏ったゲームデザイン至上主義、プレイ時間はできるだけ長い方がよいとする人々のレビュー(しかし、彼らを責める事はできない。人は支払った金額に対して、できるだけ元を取りたいと考える。彼らにとって重要なのは、それが楽しめる時間の長さだったというだけだ。至極、妥当な意見である)も、あてにならない事を改めて感じさせてくれた。

 全体としてよくできた作品で、個人的には衝撃的であったし、けっこう楽しめた。私にとっては時間もちょうどよかった。とはいえ、叙情詩の一節という位置づけは、ばつが悪い。長編作品の一つを切り取ったものと考えると、短いという意見にも納得せざるをえない。また細かなディティールも省かれているように感じる。

 次世代機での初めての作品という事で、物量やクォリティを天秤にかけてこのバランスに落ち着いたというのは、わからないでもない。様々な技術的な挑戦や、なかなか定まらない非効率なワークフロー、それによって生まれたアセットの損失などもあったに違いない(どれもユーザーにとってはどうでもよい事情なのだが)。

 ゲームは技術でもあるので、このテクノロジーが今後継承されていく事を考えると胸が熱くなる。ただ、そんなふうに考えるのは私のような一部の人間だけなのだろう。それが本作への大方の評価につながっているように思える。Ready At Dawnの次回作に期待したい。

ポジティブ

  • マシン性能だけでは成し得ない、最高級のゲーム・グラフィックス体験
  • 魅力的な世界観
  • 素晴らしいサウンド・エフェクト
  • 素晴らしい日本語吹き替え
  • わかりやすいカバーアクションTPS

ネガティブ

  • 凡庸で、選択肢の少ないゲームデザイン
  • よくまとまりすぎて特徴のない、ドラマ性が希薄なシナリオ
  • 重要な戦闘シーンでのQTE操作
  • 繰り返しプレイ要素のなさ
  • 英語版ボイスを収録していない


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